近年、PS5をはじめとする話題のゲーム機をはじめ、ポケモンカードやガンプラなどの希少価値が高い商品を仕入れて転売し、大きな利益を得ている転売ヤーの存在は、よく問題視されています。
しかし、先を見越して商品を大量に仕入れたとしても、事業者が増産や買い占め対策を行うと、破産してしまう転売ヤーがいるのも事実です。これはPS5を仕入れた人たちも同様です。
この記事では、PS5で転売ヤーが破産しかけた「死亡」の背景を説明していきます。また、「事業者がどうやって買い占め対策を実行したのか?」という疑問についても考察しているので、物販に興味のある方は参考にしてみてください。
- PS5による、転売ヤー「死亡」の背景を知れる。
- 転売ヤーの実態を知ることで、消費者としてより良い選択ができる。
- 様々な転売、買い占め対策について学べる。
なぜ転売ヤーはPS5を買えるのか?
2020年11月の発売から未だに品薄状態が続いているのにもかかわらず、どうして転売ヤーはPS5を購入できているのでしょうか?
結論から言えば、転売されているPS5のほとんどは「チェックアウトボット」で買い占められています。チェックアウトボットとは、オンラインショッピングサイトから対象の商品を自動で購入するツールです。
以前、イギリスの転売ヤーグループがチェックアウトボットを使用して、数千台のPS5を買い占めたことが話題になりました。
PlayStation 5(PS5)の発売日から4日間の販売台数が11万8000台であることが明らかになり、複数メディアから「PS5は深刻な供給不足に陥っている」と指摘されています。そんな中、イギリスの転売屋グループがPS5を3500台も確保しており、定価の3倍の価格で転売していることが明らかになっています。
Gigazine『転売ヤーグループが3500台のPS5を確保していることが明らかに』より引用(最終確認日:2022年3月22日)
その他にも、多くの転売ヤーグループが同様の買い占めを行ない、PS5が市場に出回らなくなったので「在庫がないのに、なぜ転売できているの?」という、消費者との認識のギャップが生まれているのです。
転売ヤーが死亡した原因
しかしながら、その後、PS5に目をつけた転売ヤーのビジネスはうまくいきませんでした。
とはいえ、外出自粛ムードのなかでゲーム需要は高まっていたのにもかかわらず、どうして転売ヤーがビジネス上での「死亡」を経験するような事態が起きたのでしょうか?
結論から言えば、PS5の販売に携わる事業者が転売対策に本格化したことが原因であると考えられます。
ここでは、「それぞれの事業者がどうやって買い占め対策を実行したのか?」という疑問を考察していきます。
どうやって買い占め対策を実行したのか?
PS5は発売当初から高額転売が横行していましたが、オンラインネットショッピングサイトや家電量販店、販売元は、独自の転売対策を展開しました。以下、それぞれの事業者別に転売対策をまとめています。
各事業者の転売対策
- Amazon:先着順から抽選制である「招待販売」へと切り替えた。招待者による転売または譲渡は禁じられる。
- ノジマ:PS5を販売する際、外箱への名前記入にコントローラーの梱包材破棄を条件とした。また「転売撲滅宣言」を掲げ、転売目的であるかを事前に見極めるなど対策を実施している。
- ヨドバシカメラ:店頭販売に加え、これまでに購入歴がなく、自社提携クレジットカードで決済ができる人に限って販売している。
- GEO:購入者にコントローラーの梱包材に×印を記入させ、新品でない状態で販売する。
- ソニー・インタラクティブエンタテインメント(販売元):販売店に「開封済」と書かれたシールを配布し、販売時にシールを切り離してもらう。貼られたシールは剥がれにくく、無理に剥がそうとすると箱に傷がつくおそれがある。
- TSUTAYA:抽選販売に切り替えたうえで販売時に「開封済みシール」を添付することにした。
上記のように、各事業者はさまざまな対策を講じています。なかでも梱包材がなかったり、「×印」が書かれていたりすると、査定額を大幅に下げる買取店が増えてきており、PS5は確実に転売しにくい状況になってきています。なお、転売ヤーの撲滅対策に興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。
消費者からうざいという声があがっている
たとえば、あなたが好きなアーティストのライブに行きたくて、抽選に応募したとします。しかし、残念ながら外れてしまい、チケットが高額で転売されていたら、どのような気持ちになるでしょうか?
おそらく、この人たちがチケットを買っていなければ、正規の値段で自分の手に入っていたと思うのではないでしょうか。すなわち、消費者が転売ヤーをうざいと思う瞬間は、「正当な価格で手に入れられる機会を奪われたとき」であると考えられます。
とはいえ、ライブチケットやマスク、アルコール消毒剤などのように法律で規制されているもの以外は、ビジネスとして買い占めによる転売は可能です。法的な手段で取り締まれるようなものではない限り、PS5をはじめ、希少性の高いものは転売ヤーにとっての商材であり続けるでしょう。
だからこそ、近年では、事業者も本気で転売対策を本格化し始めています。消費者が安心して商品を購入できる環境を作るのは、メーカーや代理店の責務であるはずです。適正な取引を阻害する転売ヤーに対する目線は今後もますます厳しくなるでしょう。
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