近年、消費者を無視した買い占めで非難を受けている転売ヤーですが、メーカーや小売店、ECを運営する会社が本格的に防止策に力を入れ始めています。なかには、転売ヤーを発狂させるような効果的な対策を展開する事業者もいて、近い将来のうちに悪質なせどりビジネスは衰退する可能性があるかもしれません。
冷静に考えると、消費者を置き去りにして異常な価格で商品を売り買いさせるのはマーケットそのものを混乱させるネガティブなものに違いありません。改めて、業界全体で知見を共有する動きが求められるでしょう。
そこで、この記事では、転売ヤーを発狂させた驚きの防止策をまとめてみました。悪質な転売対策に興味のある方たちの参考になれば幸いです。
- 悪質な転売ヤーが発狂する防止策を学べる。
- 買い占め行為の限界について考えるきっかけになる。
転売ヤーを発狂させた驚きの防止策まとめ
さて、悪質な転売を繰り返す人たちに対して、商品を取り扱う事業者たちはどのような転売対策を実行したのでしょうか?
ここでは、転売ヤーを発狂させた驚きの防止策を5つのケースごとに紹介していきます。商品によっては取り入れられる対策もあるので参照してみてください。
その1 中古の状態にする
第1に、商品を中古の状態にして販売するといった対策が講じられました。
通常、転売ヤーは商品を新品の状態で販売します。マニアックな消費者からすれば、開封済みの商品ではなく、手が全く付けられていない新しい状態のままで欲しいと思いますよね。だからこそ、中古の状態にすれば、転売時に商品価値は下がるので、そこを逆手に取った対策が実行されたわけです。
具体例を挙げると、家電量販店のヨドバシカメラでは、2021年9月頃からプラモデルについて購入個数制限や商品の外箱に店舗名を記した捺印を行う対策を開始しました。
また、トレーディングカードゲームのカートン販売については製品を保護しているシュリンク包装(ビニール)を破棄し中身のみを取り出して販売するといった防止策も始まっています。
その2 開封確認済みシールの貼り付け
第2に、開封確認済みシールの貼り付けを実施するという大胆な対策も実施されています。
例えば、2020年11月に発売されたものの、あまりの人気と転売ヤーの悪事によりほとんど店頭で見かけることのないPS5ですが、同商品を販売するソニー・インタラクティブエンターテイメント(SIE)は、販売店向けに「開封済」と書かれたシールを配布して転売対策を実施しています。
このシールを事前にPS5の外箱に貼って、販売するときにシールを切り離すことで「開封済み」が明らかになる仕組みです。無理にはがそうとすると箱に傷がつく可能性もあります。こうして新品のまま転売することを防止しようと試みたわけです。
これを知らなかった転売ヤーからすれば、PS5のせどりでぼろ儲けする計画が台無しになって発狂するほどの痛手を負ったのではないでしょうか。
その3 逆オークション形式
第3に、逆オークション形式による転売対策も実行されました。
ゲーミングデバイスの輸入品を取り扱っている代理店は、Twitterにて「Ducky」というブランドの限定キーボード販売を告知しました。しかしながら、販売数がごく少量となるため、店舗側では転売を警戒して「逆オークション形式」による販売を展開したわけです。
具体的には、初日は49,800円でスタートして、一営業日ごとに5,000円ずつダウンしていく、という仕組みです。これによって転売ヤーによる買い占め行動を抑制しようと試みました。けれども、「店側が転売ヤーになっただけでは?」などの批判を浴びて中止されたようです。
その後、通常通りの販売方法がとられることになりました。とはいえ、転売ヤーからすれば、買い占めづらくなった可能性は少なからずあります。判断が難しいところですが、試行錯誤するなかで逆オークションが転売ヤーを発狂させる対策になるかもしれません。
その4 商品名の音読確認
第4に、商品の購入時に名称を音読確認するといった変わった対策を講じたところもあります。
みなさんは『RG1/144 Hi-vガンダム』という商品の名称を読めるでしょうか?
ガンプラに絡む転売の話題はつきませんが、大手量販店のヨドバシカメラは購入する際に、この商品名を読めるかどうかの確認をして、読めない場合は販売しないという対策を実施して話題になりました。
これに発狂したのが外国人の転売ヤーです。すなわち、商品の読み方がわからずに購入できなかったわけです。なかには、「外国人差別だ!店長出せ!」と叫ぶ外国人転売ヤーもいたそうですが、ファンからすれば商品名を読めるのは当たり前ですよね。ちなみに気になる読み方は「ハイニューガンダム」と読みます。
ガンプラ好きなら知っていて当たり前の人気機種です。このようにファンだけが知っているはずの情報をうまく購入の条件に加えるのも有効な対策のひとつと言ってよいでしょう。
その5 ECの運営企業と覚書を締結する
第5に、ECの運営企業と転売防止に関する覚書を締結することによって、市場それ自体から転売ヤーを追い出そうとする事業者も出てきました。これには転売ヤーも発狂せざるを得ないですよね。
例えば、東京ディズニーランドののような人気テーマパークで販売されている限定グッズは、転売ヤーからすれば恰好の商材となっていました。しかしながら、東京ディズニーリゾートを運営する「オリエンタルランド」がネット上のフリーマーケットサービスを展開する「メルカリ」とタッグを組み、転売対策などで連携する覚書を締結したと発表しました。
この覚書による両社の取組内容は以下のとおりです。
(オリエンタルランド)
●メルカリに対する、特定商品の情報や発売情報などの提供
●東京ディズニーリゾート・オフィシャルウェブサイト等での注意喚起の実施
(メルカリ)
●オリエンタルランドからの情報提供に基づいた、特定の商品の取引に対する「メルカリ」アプリ上や公式ブログでの注意喚起
●「メルカリ」利用規約に違反する特定商品への出品への削除対応の実施
これにより、メルカリでは特定の高額商品に関する出品を削除するなどの対策が実施されることが期待されます。外部のECプラットフォームに依存している転売ヤーからすれば大打撃と言わざるを得ないでしょう。
転売ヤーはどうなるのか?
事業者側による数々の転売対策により転売ヤーがかつてのように大きな利益を生み出すことは厳しくなってきています。それどころか利益を得るために大量に購入したにもかかわらず、転売に失敗してそのまま在庫となるケースもあるようです。
消費者の期待を裏切るような行為はメーカーや店舗からしても長期的にファンが減ってしまうなどの悪影響を受けているしまうおそれがあるので、今度も迷惑な転売ヤーが驚くような対策が実施されることは、ほぼ間違いないと思います。
とりわけ、オリエンタルランドのようにECとの連携を図るようなムーブメントが当たり前になっていけば、市場それ自体から転売ヤーが出て行かざるを得ない状況になるかもしれません。なお、転売ヤーの末路について気になる方はこちらの記事も参考にご覧ください。
発狂するほどの打撃を受ける可能性がある
もし、転売ヤーが買い占めた商品を売り捌けなくなれば、大量の在庫を抱えることになるので破産は免れません。まさに、事業者の斬新なアイディアは転売ヤー発狂させると言ってよいでしょう。
冷静に考えると、市場を欺くようなやり方には持続可能性はありません。掻い潜るようなやり方でお金を稼ぐことばかり考えていると、最終的には小さい市場でしか商売ができなくなるでしょう。改めて、本当に人の役に立てる転売のあり方を模索するべきではないでしょうか。
コメント