スモールビジネスの代表格とも言える「せどり」について利益を上げることが難しいと分析する人たちがいます。
けれども、インターネットの情報を見ていると、ブランド品を身につけた羽振りの良さそうな「転売ヤー」が「これからは物販の時代だ!」と熱く語っている動画がよくありますよね……。
実際のところ、せどりは儲からないのでしょうか?
この記事では、せどりが儲からないと言われる7つの理由について解説しています。また、メルカリやブックオフを活用した「せどり」に関する考察も紹介しているので、物販に携わる人たちは参考にしてみてください。
- せどりが儲からないと言われる理由について学べる。
- 儲からない原因を解決することで利益を上げられるようになるかもしれない。
- 物販事業への参入について冷静に考えるきっかけになる。
せどりは儲からない7つの理由
さて、なぜ、せどりは儲からないと言われるのでしょうか?
これに関しては、大きく7つの理由があると考えられます。
せどりは儲からない7つの理由
- 理由1 運転資金が大きい。
- 理由2 価格競争が起こりやすい。
- 理由3 売れるタイミングが予測しづらい。
- 理由4 在庫管理が難しい。
- 理由5 元手の資金を用意するのが難しい。
- 理由6 一人で実行可能な作業量に限界がある。
- 理由7 商品の販売に規制がかかる可能性がある。
ここでは、それぞれの要因について説明していきます。
理由1 運転資金が大きい
第1に、せどりは運転資金が大きくなりやすいので儲かりづらくなる場合があります。
例えば、仕入れ値が1,000円の商品が1,500円で売れる場合、500円の利益を出すことができます。それに応じて、1,000,000円分の商品を買い付ければ、単純計算で500,000円の売り上げを計上できます。
このように数字だけみると儲かるように見えますが、500,000円の収益を出すために1,000,000円の投資が必要になるわけですから、商品が売れるまでは1,000,000円が運転資金として手元にない状態が続きます。
仮に、すべての商品が売れたとして、手元に1,500,000円が入ってきたとしても、新しい商品を次々と買い付けていくと、運転資金として現金が市場に流れていきます。
その結果、投資金額が無尽蔵に増えてしまい、キャッシュ不足に陥ってしまうわけです。特に、利益率が100%未満の場合は、リスクリワードで見た時にリスクのほうが大きくなるので注意しましょう。
理由2 価格競争が起こりやすい
第2に、せどりはライバルが多いことから価格競争が起こりやすいので儲からなくなることがあります。
言うまでもなく、物販事業を営む人たちは価格差を生み出せる商材を日頃から探しています。実際に、amazon、メルカリ、楽天などのECにアクセスすれば、商品の売れ筋をある程度まで調べることができるので、ライバルが自分の売っている商品を仕入れて販売する可能性があります。
また近年では、商品選定に役立つリサーチツールも数多く販売されているので、せどりで扱える商材を発見する敷居は下がりつつあると言ってよいでしょう。
もし、相手が自分の仕入れた金額よりも安く商品を手に入れたとしたら、その分だけ販売価格を引き下げられてしまうので、思ったように売れなくなってしまいます。その結果、せっかく見つけた商品だったとしても稼げなくなってしまうのです。
理由3 売れるタイミングが予測しづらい
第3に、せどりは売れるタイミングが予測しづらいので、結果として儲からないことがあります。
例えば、ある商品を100個仕入れたとして、それらが売り切れるまでに時間が経過すればするほど、利益を含んだ投資金額を回収できない時期が長くなります。潤沢な資金があればよいですが、元手に余裕がない場合は新しい商品を買い付けることができず、利益が出ない月が出てくるおそれがあるので注意しましょう。
もちろん、過去のデータから予想を立てることはできますが、必ずしも同じ結果になるとは限らないため、市場の不確実性を考慮しながら、持続可能な取引を成立させるための資金管理を徹底する必要があります。
理由4 在庫管理が複雑化しやすい
第4に、商品を仕入れてから販売する場合、在庫管理が複雑化しやすいので儲からない可能性があります。
繰り返しになりますが、市場は常に変動しています。昨年、売れていたものでも今年になってからは売れないといったことが当たり前のように発生します。加えて、購入者が返品を希望することも日常茶飯事です。
その結果、買い付けた在庫を販売しきれず、大赤字になってしまうおそれがあります。だからこそ、売れ残るリスクを考慮した適切な在庫のあり方を商品別に模索することが求められるわけです。
また、せどりで利益を拡大するには商品を買い付け続けなければいけないので、商材の種類に応じて細かく在庫を管理する必要があります。ツールを使って分析するのならまだしも、独力でチェックするとなれば、漏れが出たり、記載のミスが発生したりするかもしれません。
「在庫=投資した金額」なので正しい数値を導き出せる状態にないと、実際の利益を適切に確定できません。どんぶり勘定を続けているうちに「儲かっていない現実」に気づけなくなってしまうので注意しましょう。
理由5 元手の資金を用意するのが難しい
第5に、元手の資金を用意するのが難しいため、利益率の低いせどりで儲けるハードルは高いと言えます。
具体的に言えば、せどりの事業は銀行から融資を受けるのが難しいのが実情です。仮に、政策金融公庫で創業支援関連の項目で借りたとしても、与信力がない状態であれば500万円が限界であるといってよいでしょう。
その背景には、物販は「事業」というよりも「投資」として評価されることが多く、市場の変動も激しいことから安定した事業者が少ないといった現実があるのです。
理由6 一人で実行可能な作業量に限界がある
第6に、一人で実行可能な作業量に限界があるため、外注費などの固定費が発生します。
一口に物販と言っても、商品の買い付け、販売、発送など業務内容は多岐にわたっています。数十万円程度の事業規模なら一人でこなせるかもしれませんが、純利益が100万円を超えるレベルの取引量にもなると、単独で業務を遂行するのは無理と言わざるを得ません。
実際に、多くの事業者が事務作業を担当する専属のスタッフを雇用しています。あるいは、近年ではクラウドソーシングなどの外注サービスを使って安価で業務委託している人たちもいるでしょう。いずれにしても、一人で業務をこなせない以上、人件費がかかってくるので、その分だけ利益が下がってしまうのです。
理由7 商品の販売に規制がかかることがある
第7に、商品の販売に規制がかかることがあるので、せどりは儲からないことがあります。
例えば、価格差が見込めると思って輸入した商品だったとしても、その後にメーカーから販売の許可を取らないと売れなくなってしまうといったことがあるわけです。
その場合、代理店としての申請が受け入れられなければ、商品を売ることができません。
すなわち、その分だけ損失が発生すると言えます。自分が買い付けした商品だから何でも売れると思っていると、想定外の損害で足元を巣食われることがあるので気をつけましょう。
メルカリやブックオフを活用したせどりは儲かるの?
なお、以上の理由を踏まえたうえで、初心者で話題になりやすいメルカリやブックオフを活用した「せどり」は儲かるのでしょうか?
結論から言えば、潤沢な運転資金を用意して、競合を出し抜き続ける戦略があるならば、メルカリやブックオフを使ったせどりで一定の利益を上げることはできるでしょう。
けれども、それは決してネットでよく見かける言葉のような簡単なことではありません。一見すると、だれでも簡単にできるのが「せどり」の魅力のように思えますが、物販事業者のほとんどは3年以内に倒産しています。これが現実なのです。
逆を言えば、一部の人たちは事業を継続させることに成功しているとも言えます。しかし、そのほとんどが情報商材を販売したり、スクールを開講したりするといった本来の物販事業とは異なるビジネスモデルに転換していることが多いようです。
楽して稼げるのは幻想
せどりをはじめとする物販業界の広告では、「楽して稼げる」といった文言をよくみかけますが、現実はそう甘くありません。むしろ、それは幻想であると思っておいたほうがよいでしょう。
だれでも簡単にできるなら、だれもが既にそれをやって億万長者になっています。なぜ、そのようなことになっていないのか。冷静に考えれば、わかりますよね。すなわち、それはあくまでも客引きのためのマーケティング戦略であり、そこに惹かれている時点で「カモ」になりかけているわけです。
世知辛い世の中ではありますが、とにかく辛い現状を克服したいからといって、安易なビジネスに手を出すのは危険です。「せどり」が儲かりづらいビジネスモデルであることに留意したうえで、「それでも挑戦するのか?」をよく考えてから事業を始めるようにしましょう。
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